データサイエンスとデータドリブン経営

データサイエンス/デジタルマーケティング/データドリブン経営の書籍紹介・感想

失敗百選

  • 失敗学と経営について

失敗百選の前提となった失敗学について、エンジニアリング以外に経営でも「起業と倒産の失敗学」という本があって、何が失敗の原因になるか書いてあり、戒めとなります。成功事例だけ読んでいると、なんとなく簡単にできるような気がしたり、または色々なやり方があってどれがいいのかわからなくなってしまったりするのですが、失敗学ではやってはいけないことが確定するので有益だと思いました。ただ、失敗学だけだとどうすればいいのかわからないので、成功例と失敗例の両方を学ぶことが必要だと思いました。

他にも「社長のための失敗学」、日本軍の研究をした「失敗の本質」、日経ビジネスの「敗軍の将兵を語る」などの失敗事例研究があるので是非読んでみたいです。

 

2.失敗百選について

  • 良いところ

設計をする際の注意点を、失敗事例を通して教えてくれているので学びが大きかった。具体例があると注意点も頭に残りやすいのではないかと思います。

P55にロールプレイングとして学ばないと学べないと書いてありますが。

工学部の学部学生から読めるのと、実際のエンジニアも学びが大きいと思います。

Amazonのレビューを見てもエンジニアが書いたようなレビューが多いです。)

自分の専門以外の全般的な知識を身に着けるのにも役に立つ内容だと思います。続・失敗百選も読んでみたいと思いました。

 

(2)著者について

著者のような実際にエンジニアだった教官から学ぶと学生も実際の設計に役立つ知識・体験が得られてよいのではないかと思います。ただし、事例の部分が機械系に関することだけやたら詳しくてバランスが取れていないと感じました。

 

3.失敗百選の中から学びになった部分

 

  • プロフェッショナル

エンジニアも医者や弁護士と同じプロフェッショナルとして、知らなかったでは済まされない責任を持つという記述が最初の章にあり、自分が甘い考えで設計をしていたことがわかりました。こうしたプロフェッショナルな精神の教育は、会社ではやらなかったので、新入社員のときに教育であってもよいかと思います。

 

(2)騙しだまし

信楽高原鉄道の事故で信号を無視した運用が行われていたのですが、何度もやっているうちに感覚が麻痺してしまって、事故につながってしまった。

基準を曲げているうちに、歯止めが利かなくなってしまうので注意したい。

 

 

(3)誤差

パトリオットミサイルの計算の誤差が長い距離を飛ぶと大きくなってしまう問題で、ソフトウェアエンジニアとして知識としては知っているのですが、普段あまり意識しないので、こういった失敗事例を知っておくと、意識して設計をするようになると思います。

 

(4)基準の徹底・明確化

サイロで穀物爆発の事例で、コストを考えて7分間迷っている間に爆発が起こったという事例がありましたが、異常時の対応方法を明文化して社員に徹底していることを外部の監査機関が監査することが重要と思いました。(そうでないと防げない。)

 

(5)専門外のことへの無知

衛星の太陽電池パネルのケーブルの破損や、チャレンジャー号のゴム部品の破損について高分子材料だから、機械系のエンジニアは苦手だと書いてありますが、使っている方からすると、専門分野に関係なくちゃんと作れということになると思うので、自分の専門を区切らず学んでいく姿勢も重要かと思いました。(専門性を区切らないと専門性が深まらないので難しいところではありますが。)

 

(5)利益よりも安全

雪印乳業で失敗した原料の再利用の際に殺菌がうまくいかず食中毒へつながった事例がありましたが、これなどは利益よりも安全を優先することを社会全体でコンセンサスをとって規制などを設けるようにしないといけない。

(そうでないと安全のため原料を廃棄している会社が競争で負けるため。)