データサイエンスとデータドリブン経営

データサイエンス/デジタルマーケティング/データドリブン経営の書籍紹介・感想

海の帝国

1.1 分析の観点

 

東南アジアの歴史をアメリカ/イギリス・オランダ・スペイン/中国/ブギス人との通商の関係に重点をおいて捉えている視点が面白かった。

国の単位でなく地域の単位で経済的な観点から分析するのは、大前研一さんが「新経済原論」などでよくやっており、氏の道州制・地域国家論なども国家の単位ではなく地域の単位で経済活動をするべきだという考え方で、著者の視点と似ている。

 

2.2 分析の目的・戦略について

 

この本の目的は、過去の歴史を踏まえて今後の日本の進路を見いだそうということであったと思う。各国(イギリス、オランダ、スペイン、アメリカ、中国)の構想・戦略の変遷を捉えられるようになっており、戦略的な発想力、構想力を鍛えるのに非常によい本ではないかと思う。経済的な覇権をテーマに、歴史学政治学、経済学、文学といった既存の学問の枠組みを超えて分析がされているため、総合系のシンクタンクコンサルティングファームの仕事に近いのではないか。

戦後の日本の経済成長、日本と東南アジアの経済的な結びつきはアメリカの戦略であるという記述があったが、アメリカや大英帝国のように世界戦略とイデオロギープリンシパル(資本主義、自由主義、民主主義、キリスト教)を持っている国に、戦略やプリンシパルを持たない日本は振り回される結果になっている。

(太平洋戦争時代にも、「和」という発想が五族共和や大東亜共栄圏になり、戦略不足が、石油不足と終わりなき戦線拡大に繋がっているのではないか。)

 

2.本を読んで関連して考えたこと

 

2.1 地域研究

 

大学の教養課程で、東南アジア地域研究とか、南アメリカ地域研究とかいう地域研究の講義があったが、重要性がわからず学ばなかった。この本を読んで地域を総合的に研究する意義が分かった。

日本企業のグローバル化の重要性が増しているが、現地の歴史、政治、経済、文化を学び、総合的に地域を理解することも、商売抜きにして重要ではないかと思う。

 

2.2 キャリアの発展について

 

本の内容と直接関係がないのですが、40代以降にどうやって成長するかということですが、この本のような総合的な仕事は、様々な学問分野のバックグラウンドと実際の多様な経験が必要なため、若い人より経験・知識の多い人の方が有利と思われる。

今後は専門分野の勉強とともに、幅広い経験・知識を身に着けるように努力していきたい。(「何歳までに何を学ぶべきか」ということは、大学生か新入社員ぐらいのときに知っておきたかったが、当時はどの職業につくかも決まっていなかったので仕方がない。)