データサイエンスとデータドリブン経営

データサイエンス/デジタルマーケティング/データドリブン経営の書籍紹介・感想

フッサール起源への哲学

(1)文章について

論理の飛躍がなくて、一文一文順を追って説明がなされているという印象を受けた。ちょうど良い読み応えの本で読んでいて楽しかった。(ただし、ある程度、西洋の哲学の歴史に関する知識を持っている人を想定して書かれていると思われる。)

 

(2)哲学のことばについて

P85に「通常の言葉が機能しない局面で、哲学は営まれる」とあるが、新しい考え方/新しい概念を生み出すのが哲学の役割であり、わかりにくいところと思われる。この解説書を読んでいるときも、フッサール語(現象学語)で考えないといけないので大変だった。

 

(3)フッサール現象学について

ものが実在するかどうかは議論の対象とせず、ものを認識する認識を人間の認知を現象として分析の対象としている。人間の知覚が発生している瞬間に何が起こっているかを細かく分析している。特に時系列で認識が発生している様子を捉えて、そこから対象の同一性、自我の同一性を成り立たせているのが想像力だとしているが、人間の記憶のメカニズムを言い当てている。(記憶に障害のある人は自分が何をしていたのか、わからなくなるそうです。)

 

(4)数学と哲学について

引用されているフッサールの文章を読むと、元々数学者だったとは思えないくらい哲学者らしい抽象的な言葉がならんでいる。フッサールが数学者から哲学者に変わったので、逆に哲学者から数学者になることも可能かもしれない。私は数学が苦手だが、訓練しだいでは自分も数学ができるようになるのではないかと期待してしまう。